本土地改良区の地域は、千葉県北東部の利根川沿岸、栗山川沿岸及び九十九里平野の7市6町1村です。
九十九里平野は、下総台地の東側から太平洋にかけて弓状に7〜10kmの沖積低地で砂壌土又は植壌土で保水力は極めて低いところです。
また、諸河川は、その源を両総台地に発していますが貯水能力は乏しく、気象は概して温暖多雨な海洋性気候で比較的寒暖の差が少ないところです。
管内の農家は、第2種兼業農家が半分以上占め第1種、専業農家の順で農業生産の大部分は米が占め、次いで野菜栽培、畜産等です。
日本の農業用水は、国民が1年間で使う水の3分の2、約600億立方メートルにもなります。
そんな大切な水を確保するための施設、例えば、ダムや揚水機場、用水路や排水路などの役割はとても大切です。農業用水をしっかりと確保することは、食料の安定した供給につながり、農村全体の水環境もよく
します。ですから、こういう施設を維持したり、管理したりすることは、とても大切な仕事です。
土地改良区は、こういった農業生産を行う上で欠かせない用排水施設の整備・管理や農地の整備、いわゆる土地改良を目的としてつくられた農家の人たちの組織です。この土地改良区は全国に約7,000あり、関係する農家は約300万人、関係する農地は約300万haにもおよんでいます。
主な活動としては、農業をいとなむ上で必要な用水を確保するための水の確保や用排水路の整備・管理、農地や地域の雨水、集落からの排水などを安全かつ確実に排除するための排水路の整備・管理を行うとともに田や畑の整備などを行っています。
ちなみにこうして整備された農業用用排水路の長さは、約22万Km(ほぼ地球5.5周)にも達します。
土地改良区は、ふるさとの環境をはぐくんでいるこのような資源を大切に守り育てることを通じ新たな時代にふさわしい豊かで住みよい農村づくりをめざして、市町村をはじめ、地域に住んでいる人たちみんなの理解と協力をえながら、積極的に活動をしていきたいと考えています。
土地改良区は、こうした大切な国民の財産とも言える農地や農業用水を守り育て、豊かな地域資源を次の世代に引きつぐ役割をになっている組織です。
農業を営む人たちが農業に必要な施設で、主に水路や揚水機場・排水機場等の施設を国や県に申請して造られた施設です。
両総用水は、香取市佐原粉名口地先で利根川の水をくみ、北総台地をトンネル、パイプラインなどで横断し、九十九里平野一帯の水田に水を送っている農業用水です。長さは香取市から一宮町まで約80キロメートルもあり、日本でも有数な、千葉県で一番長くて大きい農業用水路です。
かんがいしている地域は利根川の支流である大須賀川の沿岸の香取市・神崎町・成田市と、九十九里平野にそそぐ栗山川沿岸の多古町・横芝光町・匝瑳市・ならびに九十九里平野にそって広がる一宮川までの東金市・山武市・九十九里町・大網白里市・茂原市・白子町・長生村・一宮町の7市6町1村にまたがる地域の水田約13,352ヘクタール(平成28年4月1日現在)で千葉県の水田約20%をかんがいしています。
このことから千葉県の農業生産、地域の営農を支えるなくてはならなぬ重要な農業用水となっています。
両総用水の基幹施設は、昭和18年から昭和40年にかけて造られており、大半の施設が建築以来30年以上経っていることから、施設全体が古くなって傷みが激しく、ひび割れなどのため水漏れ事故が起きたり、災害などで用水が送れなくなることが心配されています。
そこで国は地元の強い要望を受け、平成5年度より特に緊急を要する施設を対象に施設更新事業を行い、残った施設においても全体的に更新を行うこととして平成10年に事業計画の変更を行いました。
また、昭和52年より旧佐原市から栗山川までの区間は九十九里平野地域や南総地域に水道用水や工業用水を送る「房総導水路事業」との共同利用を行っており、施設が新しくなることで農家だけでなく多くの人たちが安心して水を使うことができるようになります。
水路を開水路からパイプラインに造りなおすことで、用水管理の合理化、維持管理の省力化、人身事故の発生防止などいろいろメリットがあります。古くなった施設を改修する事業のため大半はおおむね現在の位置で新しい施設に改修し、第3揚水機場から九十九里平野の海岸近くにも水を送れるように南部幹線と九十九里浜の中間付近に東部幹線を新設しました。
平成5年に着工された国営両総農業水利事業は、22年かけて平成27年3月に完成しました。
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